第40節 対湘南戦

2-1
得点 船山、藤本、ジャーン


ホームで迎えた昇格争いの直接対決、湘南戦。ここまで2敗と相性の悪い相手だが、なんとか一矢報いてJ1へ近づきたい。セレッソは今節も4-3-3の3ボランチ。湘南はアウェイで最悪ドローでもOK、としてくるだろうから、その守備ブロックを以下に撃ち破るかがポイントになる。


試合はやはりどちらも慎重な入り。特に湘南はアジエル不在が響いてか、ボールを持っても中盤の押し上げが少なく、またロングボールから裏をついてのカウンターも不発で、セレッソはピンチらしいピンチはほとんどなかった。その分、セレッソも散発的にシュートまではいくものの、決定機までは作ることができずに前半を終えてしまった。ここ数試合の4-3-3では、攻撃開始時にSBの位置取りが低めになることが多く、どうしても攻撃参加は少なめになってしまう。そこで3ボランチの前線への飛び出しが重要になってくるのだが、湘南が中央をがっちり固めてきたため、前半に関してはそこを機能させることができなかった。またカイオがボランチからのボールをもらいに中盤まで降りてきてしまうため、数少ないサイドからのクロスも中央で待つ人数が少なく、得点機に結びつけることができなかった。


いずれにせよポゼッションの時間等見ればセレッソのペースではあるのだが、0-0の時間を極力長くして、というのは湘南の狙いどおりの展開で、決して楽観できない状態で後半に入ることとなった。


後半も引き続きセレッソのポゼッションが長いもののなかなか決定機を作ることができない展開。我慢比べになるのかと思いきや、湘南は55分すぎの早い時間に香川をマークしていた田村が、香川のドリブル突破を思いきり手をかけて倒し2枚目のイエローで退場。これが試合展開を大きく変えた。


数的優位に立ったセレッソボランチ、SBも攻撃の圧力を強めだし、中盤から持ち上がった船山がペナルティエリア近くから香川とのワンツーで抜け出す。それほどシュートコースはなかったように見えたが冷静に左足でファーに決め、待望の先制点を生み出した。船山はセレッソでの初ゴール! マルの負傷後ボランチで起用されるようになった船山は、ボランチ2枚のフォーメーションでは中盤でシンプルにボールをさばきチームにリズムを生み出していた。前線へあがることも少なく、バランスを取ることに徹していたように見えたのだが、3ボランチになってからは積極的に攻撃参加し、1トップ2シャドーの攻撃に厚みを加えている。この戦術理解の高さはさすが鹿島出身とうならずにいられない。右サイドのボランチ黒木もセンターハーフタイプで、アンカーに対人能力が高い藤本がいる安心感からか積極的に攻撃参加しており、非常にバランスのいいゲーム運びができている。


10人の相手から先制しグッと有利になったところで、安心しきれないのがセレッソではあるのだが、この日はなんとこれまでまったく期待できなかったセットプレーから貴重な追加点奪うことができた。左サイド船山のCKからこぼれ球を藤本がていねいにハーフボレー。完全に流れを握ることに成功した。


あとはゲーム終了のホイッスルを待つだけだったのだが、終盤に相手FKからジャーンにフリーでヘディングされ1点返されてしまった。ゾーンディフェンスの欠点をつかれた形だがまったくもってよけいな失点。1点差となり守備に徹する時間を作ることになってしまった。


しかし湘南に勝てたこと自体がとてつもなく大きな自信をチームにもたらすだろうし、内容的にも完勝といっていいものだった。長居の雰囲気も今季最高といえるものだったし、4位に勝ち点差6をつけることとなり、昇格争いという意味でも大きな大きな勝ち点3を上げることができた。


これでなんとか昇格がうっすら、ぼんやり、見えてきたような気もするけれど、油断せず「優勝」をめざして戦っていかなければならない。