第37節 対富山戦

1-0
得点 香川


セレッソがJ全チームから勝利、という微妙な記録を達成するために残された最後の相手、富山。第1Cではくやしいスコアレスドロー、第2Cではジンヒョン、マルが退場、となんとしても勝ちたい相手だ。


しかし富山は調子がよく、第2Cだけの成績を見ればセレッソよりかなり上。格上と戦うぐらいの気持ちで挑まなければならないところだ。前半開始直後はプレスが緩い富山を相手に、気持ちよくボールを回せていたのだが、ディフェンスにいったところで相手にボールがこぼれるシーンが多く、そこからピンチになることが数度あった。特に8分カンヒョンスがシュートした場面ではチアゴが抜かれた後の緩慢な戻りが目に付いた。チアゴはDFラインの中でかなり効いているのだが、時折守備で淡泊なプレイをするのはなんとしても改めてもらいたい。


このプレイが影響したのか定かではないが、前半のうちにチアゴout、小松inで4バックに移行。クルピとしてはかなり珍しい積極的な采配が振るわれた。そうすると試合はふたたびセレッソペースに。この時間に先制しておきたいところではあったが、前半は0-0で終了。


後半、富山が気持ちを入れ直してくるかと思われたが引き続きセレッソペースで試合は進む。60分を過ぎたころから、富山が高く上げてくるラインの裏を使ったショートカウンターが決まり出すが、最後のところでボールがあわなかったり判断が遅かったりでゴールまで持っていくことができない。


なんともじれったい時間が続いたが、香川くんのサイドからの突破に乾くんがワンツー。ゴール左45度からのミドルが決まり待望の先制点をあげた。そこからもしばらくはセレッソの時間が続き、乾くんがGKと1対1になる場面もあったのだが、ゴール前でのパスをGKに読まれ追加点とはならず。点を取りに行くのか1点を守りに行くのかはっきりさせたい時間にカイオout、黒木inの交代があり、ベンチからのメッセージが明確に出された。これまたクルピとにしては珍しい交代策だったのではないか。


80分すぎには熊本のカウンターを防ぎにいった前田が明らかに相手選手へのスライディングで2枚目のイエローをもらい退場。これでさらに守りきる方向に割り切ったセレッソは、しっかりと時間を使いきり最少得点差で2連勝を飾ることができた。


試合終盤の時間の使い方では、前節に続きジンヒョンがゴール前で効果的な働きをしていた。相手FWからのプレッシャーをいなしながら、ゆったりとプレイする様はなんともふてぶてしく、相手チームのサポなら腹立たしくてしかたないだろう。しかしこれもリードしているからこそできること。この時間帯に相手をじらすプレイは効果的で、日本人選手が苦手とする試合運びの巧みさを感じさせてくれた。これからもしんどい試合が続くことは間違いないのだが、ジンヒョンがこういったプレイをできる状況にもっていけるように全力を出し切ってもらいたい。